『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)に登場するクリフ・ブースは、スター俳優の代わりに危険なシーンを演じる「スタントマン」です。演じたのは、ブラッド・ピットさん。
鍛え抜かれたバキバキの肉体、ラフなアロハシャツやジーンズ姿もキマっていて、猛スピードでボロボロのカルマンギアをぶっ飛ばすのがカッコよすぎます。
クリフは、リック・ダルトンの専属として、スタントだけでなく、運転手からテレビアンテナの修理、落ち目となったリックのメンタルケアまで献身的に尽くします。
リックにとって、クリフは大切な相棒であり、最高の友人です。
しかし、クリフはただの「いい人」ではありません。撮影所では、妻殺しを噂され、トラブルメーカーとして干されています。
ある日の撮影現場では、ブルース・リーと口論から真剣勝負になり、あえて一撃まともにくらってから、全力でリーを車に叩きつけます。勝負がつく前に、スタント・コーディネーターのランディに見つかりクビに。
ランディは、クリフをこう評しています。
あいつが現場に持ち込む空気が気に食わない。
実際に、マンソン・ファミリーに乗っ取られたスパーン映画牧場でも、リックの車のタイヤをパンクさせた青年を拳でボコボコに殴り、タイヤを交換させるなど、彼の行く先には常に暴力がつきまといます。
クライマックスで、マンソン・ファミリーが史実のロマン・ポランスキー邸ではなく、隣のリックの家に突入してきたとき、LSDを染み込ませたタバコでトリップしていたクリフは、愛犬のブランディと一緒に、情け容赦なく返り討ちにしました。
最後のひとりは、リックが『マクラスキー14の拳』で使った火炎放射器で「カリカリ」に焼いています。
タランティーノ監督自身が執筆した小説版『その昔、ハリウッドで』(2021)では、戦争時代の話や、黒澤明監督の『用心棒』(1961)を見て気に入ったという映画の趣味、愛犬ブランディとの出会い、リックに随行したマカロニ・ウエスタン時代の話など、映画版よりも、クリフの趣味嗜好やダークな面が描かれています。
クリフは、リックへの献身や映画に対する情熱と、内に秘めた凶暴性が、違和感なく同居する、不思議なキャラクターです。ブラッド・ピットさんは、この役で2020年のアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。
タランティーノ監督もお気に入りのキャラクターのひとりで、新たにクリフを主人公にした『ザ・ファーザー・ミスアドベンチャーズ・オブ・クリフ・ブース』(2026)が、タランティーノ監督の脚本、デヴィッド・フィンチャー監督で作られました。
日本では、11月25日から12月10日までIMAXで限定公開され、12月23日にNETFLIXで配信されます。
1970年代のクリフの姿が描かれる、新たな冒険が楽しみすぎます。






